自分はSEではなくWebエンジニアなんです。
この記事は、しがないラジオ Advent Calendar 2017の25日目の記事です。
「しがないラジオ」とは?
SIerのSEからWeb系エンジニアに転職したんだが楽しくて仕方がないラジオのことです。
ホームページはこちら↓↓
https://shiganai.org
自分もリスナーですが、まだtbpgrさんがゲストに登場した二回しか聴いておりません……。
にも関わらずAdvent Calendarに参加させていただいてありがとうございますm(_ _)m
時間を作って聴いていきたい。
この記事を書こうと思ったきっかけ
最初のきっかけは、しがないラジオsp.8aのてぃーびーさんの回を聴いてたときの一言。
#しがないラジオ
— #times_taguchi (@_tgch) October 23, 2017
てぃーびーさんの回を聞いているが、一般の人にSEって言われて否定するのめんどくさいのすげー分かる
例えば、同窓会などの「色々な業界・業種の人間が一同に集まる会合」で、こんな質問をよくされます。
「◯◯くん/さんは今IT業界でSEやってるの?」
そして、その質問に対する自分の答えは、
「IT業界だけどSEではないんだよね。まあSEみたいなものなんだけど」
といった感じです。
自分はWebエンジニア、正確にはWebアプリケーションエンジニアであり、自分のことをSEだとは思っていません。
しかし、WebエンジニアやSE(システムエンジニア)は、明確に職務の内容が決まっているわけではなく、話す人のコンテキストによって解釈に差があるので、混同されやすいです。そのため、IT業界ではない人に説明するときにも、面倒くさくて自分がSEだと説明している人もいるかと思います。
SIerからWeb業界に転職してきた方には、このもどかしさが多少分かってくれる人もいるのではないでしょうか。
我々はSEではないということを伝える難しさを。
かといって、一から説明すると非常に長くなるし、そもそも言語化できるほど整理整頓してまとめてあるかと言えば、ないです。
どうすればいいか悩んでいたところ、ちょうどしがないラジオのAdvent Calendarに一枠空きがあると耳にしました。
題目としてはまさにしがないラジオと被っているし、ちょうどいい機会なのでなぜ自分がSEではないのか、SEではないなら何なのかを文書化しておこうと思いついたのがこの記事を書こうと思ったきっかけです。
なお、ここに書く内容は全て自分という個人の意見であり、自分の所属している団体や世間一般の見解ではないので、ご留意いただきたいです。
そもそもIT業界って?
まず、IT業界の自分がIT業界ではない人に自分のことを説明するにあたって最初の壁となるのが、
SIerってなに?Web業界と何が違うの?
という点ですね。
そもそもここを理解してもらえないと、自分がどういう場所からどういう場所に転職して、昔はどういう仕事をしてて今どういう仕事をしているのか、という説明をすることができません。
IT業界には一体どんな業界があるのかというのを示す図がこちら。
ゲームやハードウェア、インフラ、広告などなど、IT業界と一口に言ってもその中で色々な業種がありますね。
その中で今回の記事では「SIer(システムインテグレーター)」と「Web」の二つの業界に絞って話を進めます。そもそもしがないラジオもそうですしね。
ではSIerやWeb業界とはどういう業界なのかというのをまずは知っておきましょう。
SIerとは
SIerとは、システムインテグレーション(SI)を行う業者のことである。SIに「~する人」という接尾辞「-er」を付けてできた造語である。
システムインテグレーションとは、システムを構築する際に、ユーザーの業務を把握・分析し、ユーザーの課題を解決するようなシステムの企画、構築、運用サポートなどの業務をすべて請け負うことである。これらを行う業者がSIerである。
出典: weblio辞書「システムインテグレーター」
SIerは大小様々な企業向けに、ユーザーの業務に対するコンサルティングやシステムの設計・構築・導入・運用を担っている会社/業界のことを指します。
顧客企業の業務内容を改善・効率化するようなシステムを構築し、それを導入して運用サポートも一貫して行うことがほとんどです。
Web業界とは
ではWeb業界とはどんな業界か。
一言で言うと、インターネットを通じて何かしらのサービスを提供する事業を行っている会社/業界です。
有名所でいうと、Google, Yahoo, CyberAgent, Twitter, Facebook, メルカリなど。
顧客企業に対して要望されたWebサービスを受託開発する以外にも、自社のサービスを開発・運用しているところも多いです。
自分の経歴
すごい今更ながら自己紹介します。
@ytgch_というIDでTwitterをやっており、新卒で大きめのSIerに就職したのち、Web業界に転職して働いている社会人3年目の人間です。
自分がSIerで働いていたときの会社の人達と、Web業界に転職してから会った人達は全然違くて、同じIT業界なのにここまで差があるものかと衝撃を受けました。
現在は主にRails辺りを触ってWebサービス作ったりしています。
SEとWebエンジニアの違い
SEはほとんどの場合において、SIerでの技術者の人の肩書です。
それに対し、Web業界ではわりと会社毎に違う印象があります。エンジニア・プログラマ・Webエンジニアなどなど。
さらに、開発の担当分野においても名前が分かれます。サーバーサイドエンジニア、フロントエンドエンジニア、アプリエンジニア、フルスタックエンジニアなどなど。
ここでは、SIerの技術者をSE、Web業界の技術者をWebエンジニアとして話を進めます。
では、自分の思うSEとWebエンジニアの違いをいくつか挙げてみようと思います。
新しい技術に興味があり、それを使っているか
技術の世界は、日々猛烈なスピードで進化し続けています。
新しいプログラミング言語、新しいフレームワーク、新しいサービス……新しいものが次々と出てきます。
技術者は、次々と新しく出てくるものから自分に必要なものを探し、理解し、習得していかなければなりません。
なぜ新しいものを習得していかなければならないかというと、単純に「新しいものの方が既存のものよりも優れていると考えられる」からです。
既存の言語よりも処理が速い、書きやすい、バグを生みにくい。既存のフレームワークよりもより手軽にサービスを作れる。既存のサービスよりもより使いやすく手間が減った。こういった理由があるからこそ新しいものは注目されます。
こういった新しいものをどんどん取り入れていったほうが、新しいものを取り入れず古いものだけを使っている人達とは効率や生産性に差が出てきます。
また、古いものは脆弱性が発見されたり、サポートが終了したりします。MicrosoftもWindowsの古いバージョンはサポートを終了しますよね。
Webエンジニアは新しいものをどんどん取り入れる人が多いです。効率化できる、手間が減る、便利、だったらどんどん取り入れていこうよ!という思想です。
SEはそういう思想がなく、ずっと使い慣れている古いものを使えばよくて、新しいものを取り入れる必要性はない、という思想です。
安定的な思考であるSIerと、挑戦的な思考であるWeb業界の違いが如実に表れている部分だと思います。
生産性や効率化に対して思いがあるか
自分がSIerにいた時は9時〜18時が定時で、22時以降の残業には申請が必要でした。他にも、何をするにも上長に申請し許可を得なければならない、という状況が多くありました。
申請や申請書の記入というのは、本質から逸れた作業であり、極端な言い方をしてしまうと時間の無駄、という捉え方もできます。
自分がWebエンジニアになってからは、本質的な業務にだけ時間を取ることが普通になりました。なくてもいいんじゃないかと思われるものは基本的にないし、あっても改善されることがほとんどです。
また、結果を出すことにこだわりが強く(当然と言えば当然ですが)、より良い結果を出すにはエンジニアの生産性や効率を上げることが大切です。エンジニアの生産性については色々あると思いますが、企業の制度でいうと、例えば勤務時間の柔軟性、モニターや開発マシンの支給、高級椅子の支給、技術書の購入費用負担などが挙げられると思います。
それらの制度があることにより、自分の最も生産性の高い働き方を選択できます。朝が弱く、夜のほうが集中できる人も少なくないと思います。そういう人達は勿論朝を遅くし、夜メインで働けたほうが生産性が高いですよね。
所属している社員一人ひとりの個性を尊重して自由な働き方を選択できるかどうかは、SEとWebエンジニアでは大きく違うと思います。
あくまで組織として規律を守らせることに重点を置くのか、最低限さえ守れていればあとは自由にやらせてもらえるかは、各職種の大きな特徴ではないでしょうか。
常に改善する意識があるか
SEだった時代は、会社の昔からの手法や形式をずっと使い続けていました。
設計書のファイルフォーマットは勿論、書き方なども全て昔から受け継がれている方法でやっていました。
もっと良い書き方が間違いなく存在すると分かっていても、そう書くことが決まりだと言わんばかりでした。
Web業界では、ここがもっと良くなるんじゃないか?と思ったことはなるべく言うようにして、納得が得られれば改善することができる場合がほとんどです。
今使っているツールよりも新しく出たもののほうがいいんじゃないか?というときは相談できるし、相談した結果新しいものを導入したりします。
より良い方向へ改善していくよりも、風潮や習慣を重視する文化がSIerにある気がします。
Web業界では常に改善を続けていくような文化がほとんどです。ここも大きな差ですね。
どちらがいいのか
一概にどちらがいいかというのは言い切れません。人によって合う/合わないがありますし、SIerとして働いているけどなんの不満もない、という人もいるかもしれません。
ただ、進化していく流れに乗って自分も進化していけるかどうかというのは、より良いプロダクトを作る、ということにおいては非常に重要ではないかと思います。
自分はWeb業界のほうが向いていると思ったし、Web業界に転職して良かったと思っています。
結論
これだけ色々言いましたが、SEはSIerの技術者のことを指し、Webエンジニアという呼び方はWeb業界の技術者のことを指すのと大体同義なんじゃないかと思っています。
でもこれはあくまで職種ではなく業種の違いに近いものがありますし、明確に区別できるようなものではないです。
結局、SEやWebエンジニアというのはただの呼び方の差でしかなくて、自分がどういう考え方や信念を持っているかによって変わってくるのかなと思います。
そういう点では、自分はWebエンジニアだし、これからもWebエンジニアであり続けたいと思っています。